【ブログ再開】暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて

本の話 流れる話

私は確かに忙しい。しかも、大切なことを考える時間さえ作れないまま奔走する、雑な日々を送っている。

「暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて」とは、書籍の題である。副題に「ル・グィンのエッセイ」とあるように、アーシュラ・K・ル・グィンのエッセイだ。

題名に惹かれて読み出した本だが、驚きとともに発見することがいくつかあった。

私はブログを始めたのはいいが、いつしか行き詰まり、そのまま休眠状態を放置していた。

ブログ再開のきっかけになったこの書籍について、書いてみたい。

  • 著者のル・グィンは「ゲド戦記」の作者
  • 実はエッセイとして描かれたものではなく彼女のブログからの抜粋
  • 彼女がブログを始めたのは81才
  • 著者のル・グィンは「ゲド戦記」の作者


    »スタジオジブリ 公式HP

    アーシュラ・K・ル・グィン(Ursula K. Le Guin)は1929年アメリカ・カリフォルニア州に生まれ、2018年89才でその生涯を閉じた。

    SF・ファンタジー・エッセイ、その他さまざまな分野にわたり傑出した作品を生む。

    ファンタジーの代表作は「ゲド戦記」である‥と知ったときは、驚いた。ゲド戦記は正直に言うと、読んでいない。理由は「戦記」。戦記という言葉が「戦争の記」を連想させてしまい、手に取ることなく今になってしまった。

    さらにゲド戦記の作者は男性であると思い込んでいた。なぜかは、わからない。

    ちなみに、スタジオジブリで宮崎吾朗監督が長編アニメーション「ゲド戦記」を制作しているが、このアニメーションも観ていない。

    ル・グウィンのゲド戦記の原題は Tales from Earthsea だが、この原題だったら読んでいたかもしれない。

    SFやファンタジーを最近読んでいない。

    近いうちに、ゲド戦記を読んでみよう。ジブリ作品も観てみよう。

    実はエッセイとして描かれたものではなく彼女のブログからの抜粋

    昨年来の新型コロナウイルスが、私の毎日の暮らしをどんよりとしたものにしてしまった。

    好きな読書もいつの間にかやめてしまっていたが、ふと軽いエッセイでも読もうと考え手にとったのが「暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて」だ。

    年齢を重ね賢い経験を積んだ女性のエッセイは、ラム酒に長く漬けた豊潤な果物を混ぜて焼いたパウンドケーキのように美味しい。

    私にとって、詩人であり作家であるメイ・サートンの「独り居の日記」は、美味しいエッセイの代表と言える。

    メイ・サートンのこの書籍には、アメリカ人の彼女が年を重ねてからニューイングランドの未知の地で独り暮らす様が、ストレートに淡々と綴られている。美しいが厳しく冷たい印象の記録だ。

    ル・グィンのエッセイは、少し異なる。

    彼女は、怒りを覚える事象にはストレートに文句を言うわけではなく、時にユーモアと皮肉を込めて書き流していく。

    実はこのエッセイ、ル・グィンのブログ記事から抜粋された41篇を、まとめたものなのだ。

    そのためだろうか、自由な風が文章の後ろに吹いている。決して、読み流すことのできる軽いエッセイとは言えないが、引き込まれる。

    プロローグの「はじめに」には、ル・グィンはブログをやりたい気持ちはまったくなかった、とある。

    ブログは「双方向的」であるべきだという考え方が、私はいやだった。読者のコメントをみんな読んで、返事を書き、見知らぬ相手と延々と会話することを期待されるなんて、まったくぞっとする。そういったことをちょっとでもやるには、私はあまりにも内向的すぎる。

    「暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて」より アーシュラ・K・ル・グィン著 谷垣暁美訳 河出書房新社

    しかしル・グィンは、ポルトガルの作家ジョゼ・サラマーゴが、85才から86才にかけて書いていたブログ記事を一冊の本にまとめたものを読み、触発される。

    彼女は、ブログには自由な感じがあるし読者と直接的なやりとりをする必要もない、と気づき、ブログを始めてみるのだ。

    彼女がブログを始めたのは81才

    ル・グィンがブログを始めたのは、今(2021年)から約10年前だ。

    彼女が81才の時である。

    80代、90代、もしかすると100才以上の人たちもブログを書いているだろう。

    何を始めるにも年齢は関係ない、とよく聞く(これを言われると私はやや懐疑的に受け止めるが)。

    ル・グィンは、80才を過ぎてなお明快かつ精力的に仕事をこなしていた人だから、食わず嫌いだったブログを迷わず始めることは当然かもしれない。

    しかし、私は81才でブログを始める人に、驚きと尊敬の念と羨ましさを感じる。

    そこで思う。81才のル・グィンからすればちょっとばかり若い私にも、できるのではないか、と。

    雑な人生を送りながら無駄な時間を過ごす私が言うのもおこがましいが、私はこの本を読み、大いに触発されブログを再開することにしたのである。

    アーシュラ・K・ル・グィン(著) 谷垣暁美(訳) 河出書房新社

    メイ・サートンの「独り居の日記」もお勧め。

    メイ・サートン(著) 武田尚子(訳) みすず書房

    これから読む。

    アーシュラ・K・ル・グィン(著) 清水真砂子(訳) 岩波少年文庫